ペットを連れて旅をするようになったのはいつ頃からでしょうか。遡れば、犬は先史時代から、猫はローマ帝国のもと宗教布教活動とともに大陸を渡り歩いたと言われていますが、人とペットとの関係は、今とは違っていたと思います。

日本において、今のように家族の一員であるペットとの旅がフォーカスされるようになったのは、90年代後半から始まったミニチュアダックスフンドやチワワなど小型犬を中心とした第2次ペットブームからだと言われています。この頃から、ペットを連れて宿泊できる施設をまとめた情報サイトが増え始め、ペットと一緒に旅行する「ペット・ツーリズム」が脚光を浴びるようになってきました。

その後、ペット・ツーリズムといえば、「宿泊」というところのみが強調されているきらいがありますが、新型コロナウイルスの感染症法上の分類が季節性インフルエンザと同じ5類に移行した今、「食事、休憩、移動、観覧等」を含めて観光地が一体となったペット・ツーリズムにチャレンジする旅行会社があります。

今回、ペット・ツーリズムをニュー・ビジネスとして捉え、旅行商品の企画・販売を手掛けるKNT-CTホールディングス株式会社に新たなペット・ツーリズムに掛ける想いを伺いました。

KNT-CTホールディングス株式会社
社長室 地域共創事業
上石 陽子
鶴田 ゆう
三浦 夢芽
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株式会社SAEマーケティングワン
代表取締役
一般社団法人全日本動物専門教育協会
専務理事
大野 公嗣

株式会社SAEマーケティングワン 代表取締役
一般社団法人 全日本動物専門教育協会 専務理事
大野公嗣

(大野)ペットとの旅をテーマに旅行ブランドを立ち上げられたとお聞きしましたが、どのようなブランドですか。また、ブランドを立ち上げるまでの経緯、理由など教えてください。

(上石)新型コロナウイルスが5類へと移行した今、まさに「旅行に行きたい」「出かけたい」のニーズが高まっています。コロナ禍、おうち時間が増えたこともあり、ペットを飼っている人は新型コロナウイルスの感染拡大前の2019年から比べて増加したと言われていますので、ペットと共に旅行に行きたいというニーズも相当にあるのではないかとみています。

KNT-CTホールディングス株式会社
社長室 地域共創事業
上石陽子

そのような高まるニーズに応えていきたく、「ペットのことも尊重する旅」をコンセプトに、「ペットと旅するRISPETTO」というブランドを立ち上げ、旅行サービスの事業化に向けて走り始めました。RISPETTOは、リスペットと読み、ペットをリスペクトするという意味を込めた造語となります。

私たち旅行会社は、お客様に旅を届ける企業、言い換えると、お客様と旅先をつなぐ企業です。「うちにはペットがいるから旅行は行きづらい」、「お留守番をさせてしまうのがかわいそう」など、「ペットを理由に旅行にでかけるのを諦めてほしくない」という思いから生まれたブランドです。

「ペットと泊まれる宿」も増えましたよね。猫や小動物の受け入れを始めた施設も少しずつ増えてきています。現在は、主にペットは犬を対象としていますが、将来は様々なペットと旅をするお手伝いをしたいと考えています。

(大野)ペットを連れて旅をすることはとても魅力的なものですが、反面、ペット同伴だからこそ起こり得る課題があると思います。貴社商品造成の中で、課題解決のために工夫された点などありますか。

(鶴田)商品開発にあたり、今までのツアー企画の経験から、「お客様が旅行中に負担に感じる部分や、不安を取り除き、どうしたら安心して旅をもっと楽しんでいただけるか」を考えました。愛犬と共に暮らす友人に話を聞いたり、ペット業界の方々とお話を重ねたり、社内でペット犬を飼育しているスタッフを対象とした「ペット(犬)との旅行に関する意識調査」などを行いました。

KNT-CTホールディングス株式会社
社長室 地域共創事業
鶴田ゆう

ひとくくりに「うちのわんちゃん」と言っても、飼い主の方々にとっては「家族」、「パートナー」、「相棒」、「子供」など、抱く思いもそれぞれですよね。でもその言葉からは、「かげがえのない大切な存在」という思いが溢れています。意識調査の回答の多くに「移動」と「旅先での行動制限」に課題を感じていることも改めて分かりました。

そこで、わたしたちは「飼い主の方々が感じている課題を解決する旅行サービスを実現する」ということを事業の目標にしました。

「RISPETTO」が提供する旅行サービスは「移動のストレスを軽減し、一緒に旅を楽しみ、一緒に寛ぐ旅」です。具体的には、私たちがご案内する旅行は「完全プライベート型のパッケージ旅行」で、専用車がお客様のご自宅までお迎えにあがり、ご自宅までお送りします。お荷物を運ぶ心配もなく、移動中に吠えたり鳴いたりしてもプライベート空間だから周囲に「迷惑だ」と感じる人もいません。また、広々とした車内ではゆったりとお過ごしいただけます。ペット専用のシートベルトも装備し、ケージの中に入れることなく車での移動が可能です。

モニターツアーを行った際、わんちゃんたちは、飼い主の膝の上で過ごしたり、シートに座っていたり、時には窓の外を見たり、寝ていたりと、各々の自由な過ごし方をしていました。吠えることはほとんどなく、一度も声を聞かなかったわんちゃんもいました。

ご案内する観光施設や宿泊施設は、犬種、受け入れ制限、行動制限について、「RISPETTO」独自の基準を設け、施設を厳選しています。例えば宿泊施設であれば「一緒に寛げること」、「レストランは店内に同伴ができること」、「安全管理ができていること」などの基準を設け、全てをクリアした施設だけを「RISPETTO」でご案内するお宿としています。こういった基準を観光施設、お食事場所それぞれに設け、全てをクリアしている施設のみを利用しているからこそ、胸を張っておススメできるコースとして皆様にご提供しております。

(大野)ツアーに参加されたお客様の反応はいかがでしたか。もしよろしければわんちゃんの反応も教えてください。

(三浦)今まで、わんちゃんとの旅行で感じていたストレスが減った、という声を沢山いただきました。例えば、公共交通機関で旅行をしていたお客様からは「移動中に吠えてしまったらどうしよう」、「帰りに備え、体力を温存しておかなくてはと思い旅を楽しみ切れなかった」、「わんちゃんは移動中ずっとケージの中でかわいそう」といった「ストレスを感じる必要がなかった」といったお声をいただきました。

KNT-CTホールディングス株式会社
社長室 地域共創事業
三浦夢芽

また、普段は旦那さんの運転で旅行をするお客様からは「旅行中にも大好きなお酒を二人で楽しむことができた!」といった声もいただきました。最初はそわそわしていたわんちゃんたちも、二日目には自分から専用車に戻ったり、チェックアウト後にまた部屋に戻ろうとしたり、旅の終盤、そろそろご自宅に到着という時に、運転するドライバーに向かってお別れの挨拶をする子もいて、わんちゃんたちなりに旅行を楽しんでくれていたように感じていたようです。

このように、今まで「わんちゃんとの旅行だと不便だったこと」や「わんちゃんとの旅行ではできなかったこと」を一つずつ「できる!」に変え、ペットも飼い主も楽しめる旅を提供できるのがRISPETTOの強みだと感じます。

(大野)旅行会社のプロからみて、今後、ペット・ツーリズムは日本で広がっていくと思われますか。また、今後の貴社の取組みがあれば教えてください。

(上石)ペット・ツーリズム市場はこれからもどんどん広がっていくと思います。先にも述べましたように、ペット業界という業界の著しい成長具合に、コロナから解放されて高まっている「お出かけ欲」。これらが組み合わさっていくことで、これからもどんどん成長していく市場だと見込んでいます。

今後、当社のペットフレンドリー・トラベルサービス事業の取り組みとしては、大きく二つ進めていこうと思っております。
一つ目は、「ペットと旅するRISPETTO」の拡大です。現在は東京都内発、日帰り~1泊のコースがメインですが、今後は2泊以上の商品にも着目し、さらに大阪出発などエリアの拡大も考えております。航空機や列車を使った移動も視野に入れています。

もう一つはペット・ツーリズムを軸にした地域共創事業です。「ペットも人も訪れやすいまちづくり」をテーマに掲げ、「RISPETTO」で大切にしているペットフレンドリーの考え方を用いて、ペット・ツーリズムの推進支援を行っていきたいと思っています。

また、ペット同伴旅行のルールやマナーを正しい知識としてお客様に伝え、沢山の飼い主の方々に日本中を旅して欲しいと思っております。

これら二つの事業を通して、ペットと暮らす人も動物が苦手な人も、互いに尊重し合い、旅を楽しめる豊かな社会づくりに貢献していきたいと思っております。

(大野)人もペットも楽しく、幸せに、そして思い出に残る旅を演出するKNT-CTホールディングス株式会社を私たちは、心から応援しています。
本日は、貴重なお話しを有難うございました。

【企業紹介】
KNT-CTホールディングス株式会社
近畿日本ツーリストやクラブツーリズムなどグループ旅行業などの企業を統括する持株会社

〒163-0239 東京都新宿区西新宿2-6-1 新宿住友ビル
(HP)https://www.kntcthd.co.jp

 

自信を持ってペットとの旅行やお出かけを楽しむために知識とマナーを身に付けよう

ペットとの旅行を考える時、ペットへの負担、移動中や旅先での配慮、旅行中に起こり得る不測のトラブルなど、楽しみの反面、不安を感じる方もいるのではないでしょうか。
また、ペットがいることで旅行を諦めているご家庭もあるかもしれません。
「ペットとの旅」に対する不安も、ペットを理由に旅行に行けないことも、正しい知識を持つことで解消でき、楽しく、思い出に残る旅が実現可能になることでしょう。
ペットと旅行に行くことは、飼い主にとってもペットにとっても貴重な体験になります。
それを実現するためには、お出かけ前にペットとの旅の正しいマナーと知識を身に付けませんか?

SAE認定 ペット・トラベルアドバイザー通信認定講座 とは
ペットとの旅の正しい知識とマナーを身に付け行動できるようになる、旅のプロ総合旅行業務取扱管理者と獣医師監修の資格講座です。自信を持ってペットと旅を楽しめるよう、そして、人もペットも楽しく旅できる社会創りのための知識が学べます。
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