特別講演「被災による心のゆらぎと支援のあり方」開催しました

SAEがペット災害危機管理士(R)資格を創設して約2年半が経ち、多くの方に受講・取得頂いております。

ペット災害危機管理士(R)資格は、級が上がる毎に知識だけでなく取るべき行動や瞬時の判断力、また、グループを束ねた救助活動を行うための実務能力や避難から復旧・復興に至る過程での様々な人(飼い主)とペットへのサポートも身に付くように設定されています。
2級からは、社会的責任を自覚し、発災後の復旧から復興に向けた行動を取ることができる力を育成しています。最上級の1級では、実践に即した機動力と協働して問題を解決する力を強化させ、復旧から復興までの長期的視野を持ち、人(飼い主)を牽引できる力を修得するプログラムとなっています。

今回、特別講演という形で、心理的支援の理解を付加することでペット災害危機管理士(R)が持つべきスキルを強化するため、「心の支援」に焦点を合わせた講演を、SAEと共催にて開催しました。
ペット災害危機管理士(R)を取得されていなくても、どなたでも聴講可能とさせて頂き、満席にて開催となりました。

 

講演者は、メンタルケアや心理教育に豊富な経験と実績を持つ先崎仁思獣医師です。被災者の心理、時間の経過とともに変化するプロセスを学術的に解説頂き、心理変化に合せた適切な支援のあり方を学びました。

ペット災害危機管理士(R)資格講座でも学びますが、災害などの発生時は、まず人が無事であることが前提であり、ペットを守ることができます。今回の講演では、ペットと一緒に助かったところから、被災者が置かれた状況・時間の経過によって、段階に分けて迎える心理変化を学びました。そのときの心理状態によっては、想定した内容の支援を求められないこともあり、それは、支援が必要なかったのではなく、そのときそのときに必要な支援の内容・質が変わるからです。災害発生からの時間経過、被災地の状況や被災者の様子から、支援の内容や被災者との関わり方のスタンスは都度考える必要があります。

そして、災害直後や避難生活が続く中、被災者は通常とは異なった感情や考え、行動を示すことを理解していれば、柔軟にサポートや活動を行うことができます。
そして、通常と異なるということを、災害という非常事態のときの「正常な反応」と認識することは、支援を行う立場としてだけでなく、被災者の立場にとっても大切です。自分の状態が当たり前だと知ることは、不安を取り除き、落ち着きを取り戻すことに繋がります。

<参加者の声>

  • 物的な支援や前向きに回復していくためにやるべきことばかり考えていたので、心理的な支援について初めて考える機会が与えられた。支援するということは「人」を知っていなければいけないと学びました。
  • 12段階の悲嘆プロセスを知っていることで、支援方法のレベルアップが図れると思いました。
  • 心の変化(揺らぎ)に合せて、支援も揺らぎながら進めていくことを学べたので、新たな視点で対応できると思います。

ご参加頂いた皆様、ありがとうございました。