ペットと一緒に暮らしている方の多くが、「ペットといるとストレスや不安が癒される」と、感じられているのではないでしょうか。実はペットと触れ合うときには、人間の脳内で、幸せホルモンとも呼ばれるオキシトシンという物質が分泌されており、そのオキシトシンは、精神を安定させてリラックスする効果があるからなのです。
まだまだ、日本は欧米と比べ動物福祉の面で遅れをとっていますが、少しずつ、人とペットとの共生が大切に考えられるようになってきました。そこで、今回、創業60年を迎え、ビル・マンションの大規模修繕工事を主軸に、また、動物のプロフェッサーを複数在籍させ、人にもペットにも優しい住まいのリフォームを展開する会社、株式会社セラフ榎本に、人とペットに優しい住まいの環境づくりに掛ける想いを伺いました。
株式会社セラフ榎本
代表取締役 榎本 修
営業企画部グループリーダー 福富 芳
営業企画部リーダー 永井 聖華
営業企画部 中町 絵里
X
株式会社SAEマーケティングワン
代表取締役
一般社団法人全日本動物専門教育協会
専務理事
大野 公嗣
(大野)ビル・マンションの大規模修繕工事といえばセラフ榎本さんですが、2017年に愛犬家住宅ショールームをオープンされ、人にもペットにも優しい住まいのリフォームをスタートされたきっかけや、想いを教えてください。
(榎本)弊社がペット共生住宅リフォーム事業を始めた理由は、私自身が大の犬好きで、以前から「愛犬家の役に立ちたい」という想いを持っていたからです。今や5人に1人がペットを家族に迎える時代ですが、人にとって快適な住まいがペットにとって快適とは限りません。老舗の建設業ながらこの新しい分野に攻め込み、ペットと人が理想的な形で共存できる住まいを実現することで、新たな幸せのかたちを社会に発信したいと考えております。
(大野)ペットにも優しい住まいを考えたときに、リフォームや模様替えはペットにとってストレスとなる場合が多分にあるかと思いますが、どのようなことに気を付けられ、飼い主へご提案されていますか。
(榎本)犬や猫などの動物は環境の変化に敏感で、リフォームや模様替えに伴う新しい匂い、音、見た目の変化にストレスを感じることがあり、一般的に、7歳以上のシニアペットは環境の変化やストレスに対する耐性が低下するといわれています。
また、それ以外にもペットの種類や個体差によってストレス耐性は大きく異なるため、個々に合わせた対策が重要と考えられます。
弊社ではお客様からお問い合わせをいただく段階から、ペットの種類・年齢などの記入欄を設け、まずはその種類や年齢にあったリフォームの提案をするよう心がけております。
また、飼い主さんから話を聞き、ストレスを感じやすそうな子であれば、工事中はなるべく離れた部屋で飼い主さんと待機をしてもらうなどの対応をしております。
新しく設置したペット用家具へのストレス緩和・より早く慣れてもらう為の案としては、そのペットの匂いの付いた布などを置き徐々に慣れていってもらうといった案もございます。
ストレスの話とは少し離れますが、工事中のペットへの配慮として、ネジやカッターなどの危険な工具は使うものだけ出して使わないものには蓋をしておく、常に身につけておく、昼休みなどで持ち場を離れる際には一度すべて片付けるなど、万が一のことも想定して工事を実施しております。
(大野)これまで手掛けられた中で、思い出深いリフォームがあればお聞かせいただけませんか。
(福富)ペット共生住宅リフォーム事業を開始した2年後の2019年に実施した工事が印象的でした。
戸建てでネコを多頭飼いされているお客様で、メインのご依頼はリビング・ダイニング・和室を周回できるオーダーメードのキャットステップの設置。棚受けの金物は使わず、ステップの板のみが壁から伸びている設計をご要望でしたので、どのように強度を持たせて設置していくのか、数あるアイデアの中で何が一番いいのか、何度も大工との打合せを致しました。
また、既存のキャットタワーなどを活かしてどのように周回する経路を作るのか、ネコの通りやすい高さ、部屋に圧迫感を与えない程度でネコ同士がすれ違うこともできるちょうどよい幅などを考慮してステップの配置を設計。お客様がイメージし易いように3Dの図面を作成しました。
お客様にもご納得をいただき、無事に設置方法・配置も決まり、キャットステップの設置以外にも「ペット用畳」「ペット用網戸」「ペット用クロス(壁紙)」「ペットドア設置」「ピロティ(柱)への麻紐巻付(爪とぎ兼上り棒)」など、非常に大規模なペットリフォームを行わせていただきました。お客様にも非常に喜んでいただき、後日、ステップに乗っているネコちゃんのかわいらしいお写真を沢山いただきました。
(大野)プロの目からみて、飼い主さんが今すぐできる環境づくりなどあれば、アドバイスをお願いします。
(中町)今すぐできる環境づくりとして以下の項目が挙げられます。ホームセンターやネットショッピングで購入するだけで簡単にできる対策ばかりですので、参考にしてください。
・カーペット、タイルカーペット、置き敷きマットなどを敷き、滑りを防止(足・股関節への負担軽減)
・よく上り下りする場所に簡易ステップを設置(腰への負担軽減)
・包丁を扱うキッチンなど、入ると危険な場所の入口に柵を設置(不慮の事故防止)
・玄関からの脱走を防止するために、玄関前に柵を設置(脱走防止)
・感電防止のためにコンセントやコードにカバーをして隠す(不慮の事故防止)
・家具の配置の際、ペットが快適に動き回れるスペースを確保する(動物福祉)
・倒れると危険な家具を壁に固定する若しくは天井と突っ張り倒れないようにする(不慮の事故防止)
・家具などの鋭利なエッジ(角)をクッション材でカバーする(不慮の事故防止)
・災害時に備えて十分なペットフードや飲み水、ケア用品を備蓄する(防災対策)
(大野)最後に、ペットと共生する住まいを考える上で、飼い主さんはどのような心構えを持つべきでしょうか。
(永井)一昔前までは、犬は番犬として外で飼育され、不審者から家を守るよう吠えるのが当たり前でした。しかし近年、ペットは伴侶動物として家族化が進み、外飼いから部屋飼いになるとともに、吠えることは近所迷惑となりました。ペットのしつけを怠ると日常的なお世話に支障が出たり、第三者への迷惑をかけたりする心配があります。また全ての人がペット好きではないということも頭に入れておかねばなりません。人とペット双方が暮らしやすい社会を実現するためには、正しい知識によってペットをしっかりとしつけ、周囲への配慮を怠ってはいけません。犬を散歩させるときは、排泄は基本的に室内で済ませる・散歩中の排泄はペットシーツでふき取り水で流す・回収した糞は密閉容器やマナーポーチに入れる・リードは短めに持つなど、飼い主自身がしっかりとルールを守ることが重要です。
また、ペットを飼う人は災害時にあっても責任をもってペットを飼養管理することが求められています。避難生活の中では、人が第一優先に考えられます。人用の食べ物・飲み物ですら十分にいきわたらない中でペット用のごはんが支給されることはまずないでしょう。飼い主は、災害時、自身の大切なペットを守ることができるのは自分だけであることを念頭に置き、そのための備えをしなくてはいけません。ペットのための防災グッズはごはんや飲み水の備蓄だけではなく、例えば、防災頭巾・ペット用アロマ・ペット用靴など様々なものが商品化されています。
是非、飼い主として責任をもってどんな状況にでも対処できるよう、日常的なしつけから災害などの非日常への対策までしっかりと考え、正しい知識を学び、ペットと人間がともに幸せに生活できる環境を作っていってほしいと思います。
(大野)人とペットに優しい住まいの環境づくりに全力で向き合う株式会社セラフ榎本を、私たちは、心から応援しています。本日は、貴重なお話を有難うございました。
ビル・マンションの大規模修繕工事として老舗である傍ら、人にもペットにも優しい住まいのリフォーム事業を展開
〒333-0847 埼玉県川口市芝中田2-34-16
(HP)https://www.qp-dog.jp/
人にとってもペットにとっても安全で居心地の良い空間を作ろう
「家」という空間は私たちだけではなく、犬猫にとっても心安らげる空間であることが望まれます。
人にとって住みやすい家であっても、ペットにとっては落ち着かない、ということがあり、それが行動の問題に繋がる可能性もあります。
本講座で、人もペットも暮らしやすい空間とは何かを学び、住環境を整えることでペットが抱える問題を改善したり、室内で起こり得る事故などを防ぐ手立てを学び、より快適で安心な毎日を送りませんか?
SAE認定 犬猫住環境コーディネーター通信認定講座 とは
ペットとの共生を前提に、犬・猫それぞれの習性や特性を理解し、適した住環境とは何かを学び、人とペットどちらにも偏らない住環境整備を目指す獣医師監修の資格講座です。住環境を整える知識を身に付け、ペットが抱える問題の改善や室内の事故を防ぐ手立て等を学びます。
詳しくはこちら